神奈川県建具協同組合
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建具の種類

建具は働き者です


難しい役目を軽々とこなす

新しいマイホーム、新しいお部屋、そこには必ず新しい建具があります。その建具が豊かさやうるおいのある暮らしに大切な役割を果たしていることに、もうお気づきになりましたか?
建具なんてしらないよ、などと言わないで下さい。
お客様を最初に迎える玄関のドア、雨や風を防いでいるサッシ、部屋を機能的にする間仕切りドア、そこにあるだけで落ち着きを感じてしまう障子や襖──、このすべてが建具なのです。なくては困ってしまうバスルームやトイレのドアを含めて、建具は人々の毎日の暮らしを支えているもう一人の主役なのです。

いい仕事をしています

建具は"働き者"です。難しい役目を軽々とこなしている"働き者の建具"をもっと活用して、もともと身につけているパワーを発揮させることができたら、暮らしはより豊かでうるおいのあるものにできるはずです。
華やかにもてはやされることは少ないけれど、まるで寡黙な名人職人のように、もの静かにいい仕事をしている建具について、知っていただきたいのです。


あなたといっしょに暮らしをつくる建具

人が家をもち、家族とともに暮すようになって以来、建具は人々に暮らしの中にありました。家を建てれば、出入り口や明かりとりが必要になり、開けたりする道具が建具のルーツです。
「建具」は中世に生まれた言葉といわれていますが、今日本に残っている最も古い建具は、伊豆山木遺跡から出土した弥生時代の木製の扉です。
人々の暮らしが進化して、住む家も変化する中で、建具も発展してきました。
特に明治維新以来、日本の住宅は「西洋建築」を取入れ、大きく変化してきました。
建具のデザインや素材などが大きく変わり、多様になっています。
さまざまな建具が今、人々といっしょに暮しているのです。

人にやさしい"すぐれもの"の木製建具

建具には金属や時にはプラスティックなどの新素材が使われることがありますが、人気が高く、機能性に優れ、日本の気候風土に最も適しているのは、木製の建具です。
木製建具が高い評価を得ているのは、木は伐採され、製材され、加工されて建具になっても「生きている」ことが、最大の理由です。木は、ジメジメした梅雨の時期には水分を蓄え、夏になると水分を放出して室内の温度を調整して、住む人の健康と住宅を守っています。こうした、四季折々の湿度の変化に合わせた「湿度調整機能」が備わっているのは、木が「生きている」からです。人々の暮らしと季節の変化を微妙に調整する木は、大自然からの贈り物であり、限りなく人にやさしい素材なのです。

木の特性を生かしたプロの技術

木の持っている「やさしさ」は、ぬくもりと柔らかさ、うるおいを与えてくれます。その上、美しく、時にはワイルドでもあります。さらに木製建具は、こうした木が持ってる優れた性質をどうすれば生かすことができるかを知っているプロの技能者(職人)によってつくられた作品なのです。


1.もっともたくさん使われている建具 ドア

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最近では洋風の住宅やマンションが多くなり、ドアは玄関、個室、トイレやバスルームなどにたくさん使われています。 ドアは構造によって、ムクドアとフラッシュドアに分けられます。

一本のクギも使わないムク戸

image ムク(無垢)の木材、つまり丸太を製材した木材をそのまま使用したドアで、原則としてクギは一本も使わずに組み立てたものです(ここにプロの技が生かされています)。
構造的にはたいへん丈夫で耐久性に優れていることから、玄関など外部に面した開口部に使われます。
ただ、国内外において木材資源が不足し、木材を大切に使おうという気運が高まっていて、ドアに適した良質の材料をそろえることが困難になってきています。価格も高価になり、高級品として認識される、傾向にあります。

質感の高いフラッシュドア

木材などで骨組みをつくりその両面に、合板(ベニヤ)を張り付けてつくります。
フラッシュドアというと"安モノ"というイメージの時代もありましたが、合板の質の向上、デザイン、加工方法の進歩などによって質感の高いものになっています。
また、木材資源の有効利用にもなることから普及が進み、現在は日本の住宅の室内ドアのほとんどはフラッシュドアになっています。

多様なデザイン・機能

ドアのデザインはパネル(鏡板ともいいます)タイプと、ガラスタイプが基本です。この基本に、タテ・ヨコの桟の数、パネルとガラスの組み合わせ、曲線を用いるなど無限のバリエーションがあります。洗面所やクローゼットなどある程度の通風が必要な場合には、ガラリ(ルーパー)を組み合わせます。
また、住宅環境や自然風土に適応した遮音・防火性能を強化したドアも開発されています。

日常のお手入れ方法

◆ 玄関ドア

いつも雨、風にあたり、ほこりなどで汚れることの多い建具です。濡れ雑巾で汚れをふき取り、からぶきして下さい。ドア、建具用のワックスをかけると、汚れがつきにくく、長持ちします。

◆ 室内ドア

ほこり、タバコのヤニ、キッチンの油など、室内にも汚れの原因はたくさんあります。汚れの程度によって濡れ雑巾や、住居用潜在などを使い分けて下さい。

◆ 蝶番(丁番または丁双)

ドア本体とドア枠をつなぎ、開閉をうけもつ重要な部品です。6ヶ月に一度程度、定期的に潤滑剤をさして下さい。潤滑剤はプロも使っているスプレー式シリコン系潤滑剤が適しています。
潤滑剤の代用品として、サラダオイルなどの植物油は使わないで下さい。ゴミやホコリを吸着して動きが鈍くなるおそれがあります。

◆ スライド蝶番

収納扉、食器棚、書棚などの小さなドアに使われているスライド蝶番のビスは、開閉によってゆるむことがあります。ガタつきがあれば、ドライバーで締め付けて下さい。ゆるんだまま使用していると、ドアの落下などの原因になります。

◆ ドアノブ・バーハンドル

ノブやハンドルは毎日使う部分です。お手入れを忘れずに清潔にして下さい。ラッチ(ドア枠にカチャッと入る出っ張った部分)には、定期的に潤滑剤をさして下さい。

◆ ドアクローザー

開いたドアをゆっくりと安全な速度で自動的に閉める装置で、ドアチェックともいいます。動きが早すぎたり、遅すぎる場合は「取扱説明書」に従って調整して下さい。「時計方向」に回すと閉まる速度が遅くなることは共通していますが、メーカーによって調整方法に大きな違いがあり、やみくもにいじると事故の原因になります。建具屋さんに相談して下さい。


2.使い勝手の良い建具 引き戸

image 引き戸は長い間、日本でもっとも一般的で代表的な建具でした。長い歴史と伝統があるだけに、機能的にも優れ、安心して使えるため和室にも洋室にも人気の高い建具です。溝やレールの上で開閉する(戸車を使うものもあります)方式とハンガーレールに吊られて開閉する方式などがあります。いずれの構造の建具も、たいへんスムーズに開閉し、使いやすくなっています。壁面を利用しているので、開閉のための余分なスペースが必要ありません。
また、バリアフリーとなるハンガー吊りは、車椅子やお年寄りにも使い勝手がよいという特徴もあります。

日常のお手入れ方法

◆ホコリが大敵

溝やV型レール、戸車などはホコリがたまりやすいところです。掃除機を使ってこまめにホコリをとって下さい。
戸車(ハンガーレールの場合は吊り車)の動きが悪くなったら、シリコン系潤滑剤をごく少量吹き付けて下さい。それでも動きが良くならなかったら戸車を交換して下さい。
大掃除の時には、引き戸をはずして溝やレール、戸車や吊り車をていねいにメンテナンスすることをおすすめします。一年に一度、こうしたお手入れをしておくと、いつも気持ちよく動いてくれます。
なお、建具は以外に重いものです。はずす時は、倒したりしないよう注意して下さい。


3.木と紙を使って暮らしを演出 障子と襖

障子は、木と紙を巧みに組み合わせたぬくもりいっぱいの建具です。木の温もりと優しさを最大限生かした建具が、直射日光を遮り柔らかなひざしを創りだす紙を用いることで、暮らしの中に落ち着きと静けさを演出しています。
和室のある暮らしをしたいという人が、決まって障子をつけたいと願うのは、障子が日本人の心の原点から誕生した建具だからではないでしょうか。
襖も、木と紙しか使わない、いかにも日本的な建具です。さらに襖は、住宅の「部品」という役目だけではなく、襖絵という独特な芸術を生み出しました。
たいへん優れた特徴を持つ建具ですが、だからといって特別扱いすることは必要ありません。ドアやその他の引き戸と同じように、暮らしの道具として扱って下さい。

日常のお手入れ方法

image 他の引き戸と同じようにホコリが大敵です。敷居の溝はこまめに掃除して下さい。
障子の組子の部分は、毛足の長いハケを使ってホコリを払い、白木の部分は、から拭きして下さい。
また、引き手その周辺は手の脂などが付着して汚れることが多くなりますが、から拭きで取れなかったら中性洗剤を薄めて、固く絞った雑巾で拭くと効果があります。
框(かまち)、上桟(かみざん)、下桟(しもざん)に白木用ワックスをかけておくと、汚れの防止と木肌の保護になります。
ただ、障子紙を貼る部分にはワックスをつけないようにして下さい。

障子紙の張り替えに挑戦してみよう!

image 障子紙は通気性に富み、フィルターの役目をしています。そのため、気づかないうちに汚れますし、陽が当たってやけてしまう事もあります。
紙をいつでも張り替えることが出来ることは、他の建具には真似のできない障子の長所です。年に一回程度は新しい障子紙で、部屋だけでなく気も心もフレッシュになりましょう。

1.紙をはがす
障子をはずし、ホコリなどを払い、裏側からハケ、スポンジなどでたっぷりと水をしみこませます。2~3分したら、下からゆっくりとはがしてください。組子(骨組み)だけになったら、水拭き(汚れがひどい場合は中性洗剤を使用)して、陰干ししてください。
【メモ】
仕上がりをきれいにするために、紙をはがす前に、紙がどこまで張ってあったかを示す目印をつけておきましょう。

2.紙を貼る
糊が垂れてもいいように、寝かせて作業します(新聞紙を使うと、インクが障子につくおそれがありますのでご注意下さい)。
上端を折ってセロテープで仮止めし、張り終った状態にしてみて、曲がりを直します。
次に紙を元に戻して糊をつけ、ゆっくりところがしながら貼ります。紙と障子が直接接している桟の部分を軽く押さえて、カッターで切り落とします。
【メモ】
幅の狭い伝統的な紙もありますが、現在は貼りやすい一枚紙が主流になっています。また、紙質によっては、貼り終わってから、紙のたわみをとるために霧吹きをすることがあります。説明書を良く読んでから貼りましょう。


4.クローゼットなどに最適 折れ戸

image 扉本体が折れて開閉するドアで、クローゼットなどの収納スペースやフローリング敷きのリビングルームの間仕切りに使われることが多い建具です。上部のハンガーレールと下部のガイドレールによって固定され、上下のレールを移動することによってスムーズに開閉します。
こうした構造なので、天井いっぱいのドアを取り付けることが可能になり、開口部が広く使えるメリットが生まれます。材料は木製が中心ですが、彫刻やガラスを使って豪華なイメージを表現したり、部屋を明るくすることもできます。また、壁、床、天井、他の建具とのコーディネートも容易です。

アイデアあふれた新製品

image ドアの開閉によるデッドスペースが少なく、使い勝手のよい建具として最近人気が高まり、新しいアイデアにあふれた製品も数多く作られています。
左右どちらかの端を固定して、固定された側に折りたたむ「固定タイプ」と左右どちらにでも折りたためる「フリータイプ」があります。リフォーム(増改築)などの際には、取り付けてみたい建具です。

日常のお手入れ方法

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ガイドレールは清潔に
ガイドレールは汚れやホコリがたまりやすい場所です。特に床面にある下部のレールは要注意です。日ごろから掃除機をかけたり、小さなブラシ(歯ブラシが便利です)を使って清潔に保って下さい。
年に2回程度、お手入れの後にシリコン系潤滑剤をスプレーしておくと、開閉がスムーズになります。但し、必要箇所の外側の床面に潤滑剤がつくと滑ります。付着したらきれいに取り除くことを忘れずに。

金属のゆるみに注意
ドアを固定している部分は、開閉の際に大きな力がかかるので、金具がゆるむことがあります。放置しておくと、開閉がしにくくなったり、最悪の場合はドアがはずれる危険があります。ボルトやビス類のゆるみを見つけたら、しっかりと締め付けておきましょう。

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